錯覚



歯車が回りだし、ガチガチと音を立てる
飛び方を忘れた鳥は再び羽を広げ
柔らかい風は今年もまた頬を撫でていく

時の流れに逆らってまで幸せを求め
物理法則を無視して何かを探した

そしていつのまにか
群れに置いていかれた渡り鳥のように
散り遅れた桜のように
時に取り残され、独りになっていた

それは明日を疑った僕への罰なのかもしれない
探しながらでも歩いていれば
きっと落し物は見つかったのに
それは確率でも必然でもなく
小さな奇跡だったはずだから


だから胸がキリキリと痛むのです


月代さんに『運』というお題で書いていただきました。

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