クレヨンで描かれた海は、ただの海だった。
「潮の香りがしたら旅立とう」
色鉛筆で描かれた海は、希望だった。
水彩絵の具で描かれた海は、青じゃなかった。
5年間が待てなくて、埋めた翌日開けてしまったタイムカプセル。きっと小学生の時の夢なんて中学を出たら遊びにしか思えなくなってしまうから。年のはなれた姉がその話を笑ったから、悔しかったけど自信がなくなって…誘惑に負けた。潮田凪砂の書いた未来への手紙が、私の3年日記に青いボールペンで記されている。その記述に気付いたのが中学生でよかった。まだ私は夢という言葉を照れずに言える。