[9] 開かれた視界には、まず天井の部屋の隅が見えた。サナエは病室で目が覚めた。呼吸器がとりつけられていて、酸素が勝手に体内に流れ込んでくる。サナエは喋ろうとしたがそのマスクに阻まれて何も言えなかった。その目の前にいる医者でないその人に、聞きたいことがあったのだが。 Kirin , H |
幻想夜話2周年の記念に麒麟さんが『呼吸』というお題で作品を書いてくれました。 独特の世界を構成する発想、強かでそれ故のリアルをもつキャラクター……麒麟さんの作品には、拝見する度にいつもへこまされ……もとい(苦笑)感心させられるのですが。今回も例に漏れず、素晴らしい作品をありがとうございました。 2001.9.9 雪篠 |